猫の健康管理完全ガイド：病気のサインを見逃さない方法

愛猫の健康を守ることは、飼い主にとって最も重要な責任の一つです。猫は本能的に体調不良を隠す習性があるため、病気の早期発見には日頃からの細やかな観察が欠かせません35。この記事では、猫の健康管理に必要な知識と、病気のサインを見逃さないための具体的な方法をご紹介します。

猫が体調不良を隠す理由を理解する

猫は野生時代の本能により、弱った様子を周囲に悟られないようにする傾向があります5。これは自然界では弱さを見せることが生命の危険に直結するためです。そのため、体調が悪いときでも食事をとるしぐさだけすることもあり、飼い主が異変に気づくのが遅れてしまうことがあります5。

体調が悪い猫は、体のしんどさや痛みなどから警戒心がふだんよりもさらに高まりやすくなる傾向があります5。本能的に身を隠そうという気持ちや、具合の悪さを周囲に悟られないようにふるまおうとする気持ちが強まるため、目立たないところに身を隠す行動をしたり、咄嗟の出来事でもすぐに動き出せるように気を緩めず、くつろぎすぎない姿勢で休もうとするしぐさが見られやすくなります5。

わかりやすい体調不良のサイン

行動の変化

最も分かりやすいサインとして、いつもより動きが少なくなることが挙げられます5。目立たない隅のほうや隠れられる場所、人の目線よりも高いところなどの「見つかりにくい場所」で休みたがるようになります5。

休む際の姿勢にも変化が現れ、お腹を守るように丸くなったり、香箱座りのままうたたねをするなどの様子が見られがちです5。体調が悪いと、ヘソ天や体をゆったりと伸ばしてのびのびと休むことは、少なくなる傾向があります5。

食欲の変化

食いつきが悪くなったり、実際に食べなくなったりなどの食欲の変化も、比較的わかりやすい症状と言えるでしょう5。普段はよく食べる猫が突然食べなくなったり、食べムラが起きたりすると、それは体調不良のサインかもしれません11。長期間食事を食べないと、肝リピドーシス（脂肪肝）になる危険性もあります11。子猫は半日、成猫は1日以上食欲がない場合は注意しましょう11。

わかりにくい体調不良のサイン

呼吸の変化

明らかに苦しそうではないものの、いつもより呼吸が速い様子が続いている場合は注意が必要です5。猫は呼吸器などの調子が悪いときや発熱がある際などに、はっきりと口を開けてわかりやすくハアハアするような呼吸ではなく、まずは浅く速い呼吸で補おうとする状況も頻繁に見られます5。

姿勢の変化

うつむき加減で顔をあまり上げない様子は、病気の影響に伴うミネラルバランスの乱れなどにより筋力の低下が起こったときに見られることがある症状です5。たとえば、慢性腎障害の際の低リン血症といったものです5。

ゴロゴロ音の変化

喉をゴロゴロと低く鳴らし続けている場合も注意が必要です5。特に体調が悪いときには低い音で喉を鳴らし続ける場合もあります5。低い音で喉を鳴らす行動については、猫が自分自身の体のつらさやしんどさを緩めるためにしている可能性などが考えられています5。

身体的なサインの詳細

水分摂取量の変化

水をたくさん飲んでいると、なんとなく健康そうに見えるかもしれませんがそうではありません11。飲水量が増える代表的な病気には慢性腎臓病や糖尿病、甲状腺機能亢進症などがあります11。猫が急にたくさんの水を飲むようになったり、逆に全く飲まなくなる場合、腎臓や糖尿病などの病気が疑われます3。

毛並みや皮膚の変化

病気のサインとして、毛並みがパサついたり、皮膚に炎症やかゆみがあることがあります3。また、抜け毛が増えたり、皮膚の色が変わることもあるため日頃から注意深く観察しましょう3。健康な猫が日常的に毛づくろいをしなくなった場合、口内の病気や関節の痛みが原因であることがあります11。

体重の変化

抱っこした時や触れた時に骨ばった感じがする、明らかに痩せていると感じる場合は、内臓疾患や代謝の異常が考えられます11。愛猫の体重が減ってきたら加齢現象と決めつけず、健康診断を兼ねて動物病院を受診するのがおすすめです7。

トイレでの異常サイン

排泄物の変化

トイレでの異常行動は健康問題の兆候かもしれません3。吐く、尿の色や量の異常、便秘や下痢などの症状は、消化器系の疾患や尿路系の問題を示している可能性があります4。

トイレの使用頻度

普段から、愛猫の排泄パターンを把握しておくことが重要です11。排泄の回数や量、色、においなどに変化がないか日々チェックしましょう11。

危険な病気のサインを見逃さないために

呼吸器系の症状

くしゃみや鼻水が出ている場合、猫カゼの一種である猫ウイルス性鼻気管炎の可能性があります4。一度感染すると体内にウイルスが残り、免疫が低下すると再び症状が現れることも珍しくありません4。そのほか、アレルギーや歯の根元が化膿する根尖膿瘍、鼻の腫瘍が原因の可能性もあるため、早めに動物病院を受診しましょう7。

目の異常

目をシバシバさせたり、目を気にするような仕草が見られる場合は注意が必要です7。目の周囲の腫瘍が関わっている可能性も考えられ、いずれの場合も触ると悪化するおそれがあるので、すぐに動物病院を受診してください7。

その他の重要なサイン

声が枯れる、お腹が腫れる、体を執拗になめる、咳をするなどの症状も病気のサインとして重要です7。これらの症状は命にかかわる状態の可能性もあるため、早めの受診が必要です7。

日常的な健康管理のポイント

定期的な健康チェック

健康な猫でも年に一度程度のチェックをお勧めします2。年齢の上昇に伴い、健康問題の発生率は上昇しますので、高齢猫は年に2回の健康チェックが必要かもしれません2。獣医師は、猫の健康状態を見るために、耳、目、歯、皮膚、筋肉、関節、お腹、尿等を調べます2。

食事管理

猫の健康を保つために、食事管理は重要な要素です2。猫は肉食動物であり、適切な栄養が必要です2。年齢や体調に合わせたフードを選ぶことが大切で、子猫、成猫、シニア猫では必要な栄養素も異なります6。

適切な運動量

猫は本来、狩猟をして活発に運動する動物ですが、家庭での飼育では運動不足になりがちです2。運動不足による影響として、肥満や関節痛、尿路結石のリスクが高まることがあります2。毎日10分程度でも最低限は運動を心がけることが大切です2。

日常的なケア

爪切り、体重測定、ブラッシング、歯磨きなどの日常的なケアを習慣にすると、体型の変化や被毛・皮膚の異常に気付きやすくなります6。特に歯磨きは重要で、猫の歯は人間と比べて歯石ができるスピードが早く、1週間も経たないうちに歯垢が歯石に変わってしまいます6。

体調不良のサインに気づいたときの対応

目立つ症状があまりないからといって軽症であるとは判断できませんし、時にはかなり体調が悪く、深刻な状態であることもあります5。愛猫が不調かもしれない様子に気づいたら、まずは早めに動物病院を受診し、きちんと診てもらうのがおすすめです5。

少しでも気になることがあれば、動物病院を受診することをおすすめします8。小さな違和感でも病院へ連れて行ける環境を整えることで、家族の一員である愛猫と1日でも長く健康で幸せに過ごせるようにしましょう8。

猫の健康管理は、日々の観察と適切なケアの継続が鍵となります。愛猫の普段の様子をよく把握し、小さな変化にも敏感になることで、病気の早期発見・早期治療につなげることができるのです。